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安全保障輸出管理

 国際的な平和及び安全の維持の観点から、国際社会においては、大量破壊兵器等の拡散防止や通常兵器の過剰な蓄積を防止するための輸出管理=安全保障輸出管理を厳格に行うことが求められています。我が国でも、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号、以下「外為法」と呼びます。)に基づき、国際的な平和及び安全の維持の妨げになると認められる場合に、「貨物の輸出」と「技術の提供」について、事前に経済産業大臣の許可を得ることが必要となっています。

 九州大学では、国際的な産学連携や、教育・研究の国際化を推進しています。しかし、その過程で行われる技術データのやりとりや高性能な研究資機材の海外への送付が、まったく意図しないところで、国際社会の安全を脅かす国やテロリスト等に転送され、悪用されてしまうおそれがないとは言えません。そのような状況に陥ることのないよう、本学では外為法を遵守すべく、九州大学安全保障輸出管理規程(平成21年度九大規程第72号)を平成22年4月に施行し、学内における一元的な管理体制を構築・運営しています(令和5年3月28日最終改正・施行)。

○貨物の輸出

 外為法に基づき規制を受ける「貨物の輸出」とは、貨物を外国に向けて送り出すことをいいます。例えば、以下のような行為はこれに該当します。

  • ・海外出張時の試料、部品、試作品、機器等の手荷物としての持出し
  • ・海外の研究機関や研究者への装置、試料、試作品等の送付や貸与
  • ・海外で開催される学会・シンポジウム等への装置等の出品 等
■「貨物の輸出」の例外

 店頭販売されているような一般的なノートパソコン、個人の携帯電話等を海外渡航の際に自己使用のために持ち出す行為については、基本的には経済産業大臣の許可を得る必要はないと解されています。

○技術の提供

 外為法に基づき規制を受ける「技術の提供」とは、貨物を設計、製造又は使用するために必要な特定の情報(=技術)を、技術データ・技術支援の形態により、外国において提供すること、又は日本国内において非居住者若しくは特定類型に該当する居住者に対して提供すること(「みなし輸出」。ページ下部参照)をいいます。有償無償は問いません。例えば、以下のような行為は「技術の提供」にあたるとされています。(経済産業省「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)」第四版(令和4年2月)参考)

―非居住者又は法律に基づき非居住者と解釈される者へ以下の提供を行う場合―
  • ・有形技術の提供
    ―紙媒体(技術報告書、図面、製造方法書、試験方法書等)の提供
    ―電子媒体(実験データ、投稿原稿、研究記録等)の提供
  • ・無形技術の提供
    ―電話による指導・口頭による研究発表
    ―プレゼンテーションソフトによる表示、説明
  • ・人を介しての技術の提供
    ―展示会、シンポジウム等での技術展示
    ―セミナー等での技術発表
    ―技術指導
■「みなし輸出」管理の運用明確化

「みなし輸出」とは、国際的な平和及び安全の維持のため、日本国内において「非居住者」に対して特定の機微技術を提供することを目的とする取引をいい、外為法 第25条第1項に基づき事前に経産省の許可が必要になっています。
今般、限定的に解釈運用されてきた外為法第25条第1項について、わが国を取り巻く経済安全保障環境を踏まえ、日本国内の「居住者」への機微技術提供であっても、当該居住者が、非居住者へ技術情報を提供する取引と事実上同一と考えられるほどに当該非居住者から強い影響を受けている状態(特定類型)に該当する場合には、外為法第25条第1項にいう「特定国の非居住者に提供することを目的とする取引」に該当することが明確化され、令和4年5月1日から施行されました。
本明確化に伴い、大学・研究機関(以下「大学等」といいます。)においては、大学等による外為法遵守の観点から、当該大学等に所属する教職員及び学生等(以下「構成員」といいます。)に対する技術提供のうち、特定類型該当者への提供とみなされうる場合をあらかじめ把握し、学内において確実な管理をすることが求められています。
*特定類型該当性に係る申告書
本学においても外為法遵守の観点から、九州大学の構成員である皆様に、特定類型の該非を確認する「特定類型該当性に係る申告書」の提出をお願いしています(原則として、身分(教職員・学生等)や形態(常勤・非常勤等)に関係なく、本学に所属するすべての方から提出をお願いします。)。
申告書は、九州大学オンライン研修システムにて、説明動画(約5分)を視聴後にアンケート方式で回答ください。なお、申告書の提出後に外国機関への就職(兼業)や外国政府奨学金の獲得等によりご自身の状況の変化し、申告した内容と該非が異なることになった場合には、下記にお問合せのうえ、速やかに再提出をお願いします。(新規に九州大学に採用・入学等された方は、採用・入学等の翌月末日までに提出してください。)なお、オンライン研修システムは、下記に記載の法務統括室のホームページよりアクセスいただけます。
法務統括室ホームページ「みなし輸出」:(https://qilo.kyushu-u.ac.jp/deemed)
「みなし輸出」管理に関するお問い合わせ:deemed_export★qilo.kyushu-u.ac.jp

○外国人研究者及び外国人留学生の受入れ

 外国人研究者及び外国人留学生の受入れ時に、安全保障輸出管理の観点から確認を行うフローを運用しております。詳しくは法務統括室へお問い合わせください。受入れについて申請が必要な場合、法務統括室ホームページに設置した電子申請システムが利用できます。利用にあたっては、下記の「■学内申請手続について」をご確認ください。

○国際産学連携等の研究受入管理(与信調査)

 本学では、国際産学官連携活動を安全かつ適切に遂行することを目的として、国際産学官連携ポリシー並びに国際産学官連携研究等の受入に関するガイドラインを定めています。学術研究・産学官連携本部が担当する手続きフローに従い、教職員及び部局事務は、連携組織及び連携内容の適切性を確認し判断することが求められます。法務統括室では、これら国際産学官連携活動の他、国際的な活動全般(学術交流等)について、その受入れ前に求められる連携組織等にかかる与信調査をサポートしています。

 外国の連携組織との連携(受託研究、共同研究等)について打診を受け又は提案し協議に入る前、若しくは外国のファンディングエージェンシーの助成金等による研究に応募をする前に、国際産学官連携研究等の受入に関するチェックシートを作成し、部局担当事務に提出してください。(その他の国際活動において与信調査を希望される場合は直接法務統括室にご連絡ください。)


○オンライン研修
安全保障管理について、制度概要の説明や学内申請手続き等について、オンライン研修システムにて受講をお願いしております(「安全保障管理研修」)
法務統括室ホームページ「安全保障管理」: https://qilo.kyushu-u.ac.jp/security


○学内における管理体制

*輸出管理統括責任者(理事)

 本学における安全保障輸出管理を統括する者で、次に掲げる業務を行います。

  • ・安全保障輸出管理の基本方針及び基本施策の決定
  • ・技術の提供及び貨物の輸出に関する承認・許可
  • ・安全保障輸出管理に関する教育、監査の実施 等
*輸出管理統括部署(法務統括室)

 輸出管理統括責任者を支援する部署で、次に掲げる業務を行います。

  • ・安全保障輸出管理の基本方針及び基本施策の企画・立案
  • ・技術の提供及び貨物の輸出に関する承認・許可手続
  • ・安全保障輸出管理に関する教育、監査の企画・立案 等
*部局輸出管理責任者(各部局長)

 各部局における安全保障輸出管理を主宰する者で、次に掲げる業務を行います。

  • ・技術の提供及び貨物の輸出に関する審査
  • ・安全保障輸出管理に関する教育その他輸出管理統括責任者が実施する業務への協力 等
*部局輸出管理部署(所管事務部等担当係)

 各部局における安全保障輸出管理の実務を実施する部署で、次に掲げる業務を行います。

  • ・当該部局の役職員が行う安全保障輸出管理に関する支援
  • ・部局輸出管理責任者の支援
  • ・輸出管理統括部署との輸出管理に関する連絡調整 等
輸出管理統括責任者:理事

○学内における申請手続

 役職員は、自身又は自身が主として研究指導を行う学生等が大学の業務上のものとして貨物の輸出又は技術の提供を行う場合は、事前に以下の手順により輸出管理統括責任者の許可を得る必要があります。貨物の輸出(若しくは技術の提供)を行う場合には、必ず学内申請手続を行ってください。

 *役職員とは、本学に雇用されている教授、准教授、助教、講師、研究員等すべての教職員を指します。

■学内申請手続について

 学内申請手続については、法務統括室ホームページ(https://qilo.kyushu-u.ac.jp/security/)をご確認下さい。
 法務統括室ホームページに設置した電子申請システムが利用できます。利用にあたっては、システム仮登録をした上で本ユーザー登録をしていただく必要があります。登録の方法は下記の2種類があります。登録および申請システムの利用は、SSO-KIDも要求されます。

 上記の法務統括室のホームページにアクセスいただき、「貨物の輸出」を申請する場合は「外為法に基づく安全保障輸出管理申請」、「外国人受入」を申請する場合は「外国人研究者・外国人留学生等の入口管理申請」を選択後、青色のボタン「初めて申請される方[仮登録]」から案内に沿って仮登録を行なってください。(URL:https://www.qlegal.kyushu-u.ac.jp/user/registerに直接アクセスして仮登録を行うことも可能です。)


 仮登録完了後、本登録の案内メールが各自のメールアドレスに届きます。案内メールに従い改めて本登録を行ってください。
本登録完了後、法務統括室ホームページの申請システム(「申請手続き(起案者用)」)からログインしてください。

 貨物の輸出(技術の提供)の申請は、個人ページの左上の「貨物案件」を選択のうえ、「新規作成」のボタンをクリックしてシステムの画面に従い、入力・申請を行います。外国人研究者及び外国人留学生の受入れ申請は、個人ページの左上の「外国人案件」を選択のうえ、「新規作成」のボタンをクリックしシステムの画面に従い、入力・申請を行います。

 仮登録から本登録の方法、また案件の入力・申請の方法についての詳細は、法務統括室ホームページの申請システム(「マニュアル(起案者用)」)で確認できます。

*部局輸出管理責任者による審査

 部局輸出管理責任者は、役職員からの申請を審査し、その結果を輸出管理統括責任者に電子申請システムにより報告します。

*輸出管理統括責任者による承認・許可

 輸出管理統括責任者は、部局輸出管理責任者からの報告を審査し、安全保障輸出管理上の懸念がないと判断される場合は、当該技術の提供又は貨物の輸出について、非該当証明書の発行をもって許可しますが、必要に応じて、経済産業大臣の許可を得る手続きを行います。

*同一性の確認

 役職員は、技術の提供又は貨物の輸出を行うに当たり、当該取引が輸出管理統括責任者若しくは経済産業大臣の許可を受けたものと同一のものか確認を行わなければなりません。