教育の国際化
九州大学は、平成21年度に開始した文部科学省の「国際化拠点整備事業(グローバル30)」に採択され、それ以降、教育の国際化を加速し、アジアを代表する世界クラスの教育・研究機関としての機能を強化するための取組を行ってきました。さらに、平成26年度に採択された「スーパーグローバル大学創成支援事業」のもと、外国人留学生の増加と並行して、日本人学生の海外留学の増加も目指し、一層の国際化を推進してきました。これまでの成果に基づき、本学が掲げる目標「異なる価値観に触れ、国際感覚を持った人材の養成」(第4期中期目標)に加えて「Kyushu University VISION 2030」における「国際社会においてリーダーとなる人材の輩出」を念頭に置き、日本人学生の海外留学と外国人留学生の受入れを戦略的かつ体系的に進めています。
○教育の国際化促進
次のような施策により、留学生数の増加を図ります。
(1)2学部及び全大学院に国際コースを設置
令和5年4月1日現在、英語による教育だけで学位が取得できる国際コースを、工学部・農学部の2学部、及び全大学院18学府(法務学府(法科大学院)除く)に合計69コース設置しています。
(2)留学生指導・相談
留学生センターの留学生相談室では、専門の教員(カウンセラー)が留学生に関する様々な相談(修学・研究上(授業料や奨学金、進級、研究室での人間関係など)や生活上(事故、病気、住居、家族など)の相談、メンタルヘルスに関する相談など)を受け付けるとともに、各学部・大学院の留学生担当教員等と連携して問題の解決を図っています。(相談室での相談内容は秘密が厳守されます)
留学生相談室は伊都キャンパスにありますが、必要に応じて各キャンパスで相談に応じます。またキャンパスライフ・健康支援センターと連携して英語・中国語での相談も行っています。詳しくは留学生センターおよびキャンパスライフ・健康支援センターのホームページで確認してください。
(3)留学生緊急時支援制度
本学では「九州大学外国人留学生等に係る緊急時支援要項」を定め、留学生が日本国内において事故・病気等で緊急事態に至った際に、大学として支援する体制を取っています。各留学生には会費として千円/年の支払を求めています。
この制度により、留学生は緊急時以外でも、平常時のサービスとして、医療機関を受診する際に、病院の紹介・電話での通訳サービスを受けることができます。
○海外オフィス等
*海外オフィス
<諸外国において活動を行うためにスペースを置き、現地スタッフがいるオフィス>
・ストックホルム・リエゾンオフィス
・北京オフィス
・カイロオフィス
・ハノイオフィス
<諸外国におけるコンタクトポイントとしてのオフィス>
・台北オフィス
・ソウルオフィス
・ワシントンD.C.オフィス
(活動内容)
活動内容はそれぞれ異なりますが、主に、優秀な留学生の受入拡大に向けた広報活動、諸外国の教育・学術研究動向の収集、本学教職員・学生に対する現地での活動支援などを行っています。
*ブランチオフィス
・ガジャマダ大学内ブランチオフィス(インドネシア)
(活動内容)
本学と当該大学との教育・研究面でのコーディネートや優秀な留学生獲得を目指した広報活動等を行うためのスペースを提供しています。
*プロジェクトオフィス
・UQ-KU教育研究交流プロジェクト拠点(オーストラリア)
本学とクイーンズランド大学の教育研究交流を促進
・日本留学海外拠点連携推進事業中東・北アフリカ拠点(トルコ)
当該地域から優秀な学生を日本への留学に誘致(活動内容)
本学と現地にコーディネーターを置き、各プロジェクト・取組を実施しています。
○留学生の受入
九州大学は、学生交流協定、国費留学生制度、短期留学プログラム等により多くの留学生を受け入れています。
*留学生の受入人数
109か国・地域から、2,620名の留学生を受け入れています(令和5年11月1日現在)。
*国費留学生制度
国費留学生制度とは、文部科学省が世界各国からの留学生の受入れを促進するために創設した制度です。
この制度への申請方法は、主に、大使館推薦(新たに海外から留学する者)、大学推薦(新たに海外から留学する者)の2つがあります。
*私費留学生への経済的支援
私費留学生を対象に独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)文部科学省外国人留学生学習奨励費及び各種財団奨励金があり、情報提供や募集の受付けなどを行っています。
留学生センター
※日本語教育
・JACs:Japanese Academic Courses/基幹教育・言語文化基礎科目「日本語」
Credit Courses for Japanese Learners(Ito Campus)
九州大学の学部正規課程に在籍する留学生(学士課程国際コースを含む)、および、九州大学に大学間・部局間学生交流協定に基づき留学している留学生センター所属、または、各学部所属の交換留学生が、基幹教育の一環として、単位取得を目的として日本語学習を行うコースです。総合日本語、会話、漢字、作文の4つのコースが年間を通じて用意されており、入門から上級まで8つのレベルのクラスが開講されています。
・JTCs:Japanese Training Courses (単位認定対象外)日本語補講(伊都)
Non-credit Courses for Japanese Learners(Ito Campus)
九州大学の留学生センター所属留学生を除く交換留学生、または、大学院に在籍する留学生(非正規生も含む)で、専門の勉強をする傍ら、日本語を学びたい人を対象に、伊都キャンパスで年間を通じて開講されている日本語補講コースです。初級から上級までの7つのレベルの総合日本語クラスが開講されています。
受講希望の学生は、期間内にオンラインプレースメントテストの受験が必要です。
日本語補講(馬出)
Non-credit Courses for Japanese Learners(Hospital(Maidashi) Campus)
病院(馬出)キャンパスの学生は、伊都で開講されているJTCsの中のオンラインコースを受講することができます。受講希望の学生は、期間内(JTCsと同じスケジュール)にオンラインプレースメントテストの受験が必要です。
日本語補講(大橋)
Non-credit Courses for Japanese Learners(Ohashi Campus)
大橋キャンパスでは、初級1・2、中級、上級の4つのレベルの総合日本語クラスが開講されています。
受講希望の学生は、期間内にオンラインプレースメントテストの受験が必要です。
日本語補講(筑紫)
Non-credit Courses for Japanese Learners(Chikushi Campus)
筑紫キャンパスでは、初級1・2・3、中級、上級の5つのレベルの総合日本語クラスが開講されています。受講希望の学生は、期間内にオンラインプレースメントテストの受験が必要です。
*短期留学プログラム
(1)九州大学短期留学プログラム(JTW:Japan in Today’s World)
留学生センターでは、1994年度から海外の大学に在籍する学生を対象とした短期留学プログラム(JTW)を実施しています。本プログラムの期間は10ヶ月又は1学期で、日本における人文・社会科学分野を中心に英語による授業を実施するとともに、専門分野に関する自主研究の場も提供しています。
主に、大学間学生交流協定校からの交換留学生を受け入れています。
(2)日本語・日本文化研修コース(JLCC:Japanese Language and Culture Course)
留学生センターでは、2000年度から海外の大学(主に学部)に在籍する学生を対象にした日本語・日本文化研修コース(JLCC)を実施しています。
コース期間は11ヶ月で、国費外国人留学生(大使館推薦及び大学推薦)及び大学間学生交流協定に基づく短期留学生(私費)を日本語・日本文化研修生として受け入れています。
(3)九州大学・ASEAN教育交流プログラム(AsTW:ASEAN in Today’s World)
AsTWは本学がASEAN諸国の有力大学と共同で実施する春季2週間のプログラムです。本プログラムは、ASEANと日本を中心とする世界中の学生にASEANをキーワードとして国際的な共通性を習得させ、次世代のアジアを担う人材を育てることを目的としています。
○学生の海外派遣(交換留学含む)
九州大学は、海外の大学との学生交流協定等に基づき、交換留学制度、短期語学研修等により、多くの学生を海外の大学へ派遣しています。
*学生の海外派遣人数
2019年度は、1,820名の学生を64か国・地域の海外の大学等に派遣しています。また、コロナ禍の影響を受けた2022年度は、764名の学生を58か国・地域の海外の大学等に派遣したのに加え、229名の学生が18か国・地域の海外の大学等のオンラインプログラムに参加しました。
*大学間交換留学制度
大学間学生交流協定に基づき、海外の協定校との間で学生の受入れ・派遣を行っています。授業料不徴収、単位互換可能、学生寮への優先的入居等のメリットがあり、留学課を通して申請手続きを行います。
この他に、部局で独自に学生交換を行う、部局間学生交流協定に基づく部局間交換留学制度があります。
*短期留学プログラム
(1)九州大学・ASEAN教育交流プログラム(AsTW:ASEAN in Today’s World)
AsTWは本学がASEAN諸国の有力大学と共同で実施する春季2週間のプログラムです。本プログラムは、ASEANと日本を中心とする世界中の学生にASEANをキーワードとして国際的な共通性を習得させ、次世代のアジアを担う人材を育てることを目的としています。
(2)アジア太平洋カレッジ(CAP:College of Asia Pacific)
College of Asia Pacific(CAP)は、広域アジア地域の共通課題である移民や宗教、社会統合といったトピックをとりあげ、参加学生が主体となって問題・課題を発掘するProblem Based Learning(PBL)、学生複数名で構成されるチームで問題・課題を解決していくTeam Based Learning(TBL)をもとに、講義とフィールドワークを統合した学際的短期海外派遣プログラムです。
CAPスキームでは、短期派遣に加えて、環太平洋大学協会(APRU:the Association of Pacific Rim Universities)への科目提供及びCOILプログラムを実施します。
*短期語学研修
語学力を向上させるための海外研修には次のプログラムなどがあります。
(英語)
・英語研修:夏休み及び春休みの3~4週間研修(実施国未定)
(中国語)
・短期中国語研修(CLP):春休みの3週間研修@台湾(選考あり)
(フランス語)
・短期フランス語学留学:春休みの約4週間専門を問わずフランス語初心者も参加可能です。
*環太平洋大学協会(APRU:the Association of Pacific Rim Universities)
本学が加盟している国際大学連携コンソーシアム・環太平洋大学協会(APRU:the Association of Pacific Rim Universities)では、オンライン留学プログラムVirtual Student Exchange Program (略称VSE) を実施しています。VSEアカデミックコースは、APRUの加盟大学が提供するオンライン授業科目を履修するプログラムとなっており、本学の学部生は無料で履修することができます。
また、VSEのほかに単位認定を伴わないCo-curricular Programsも実施されており、本学の学生は、APRU加盟大学による文化体験、リーダーシップ育成、キャリア形成、学生交流をテーマとした様々なプログラムに無料で参加することができます。なお、VSEアカデミックコース及びCo-curricular Programsには、本学教員も科目を提供することができます。
APRU VSEについて
https://www.isc.kyushu-u.ac.jp/intlweb/study/online/vseacademic
*学内留学
留学生センターが実施するJTW及びSIJの授業は、基幹教育科目として一般学生にも開放されています。九大キャンパスにいながら、海外有名大学から参加する留学生と机を並べて英語で専門科目を学ぶことができる、貴重な機会を提供しています。
*学生の海外派遣支援
全学・部局が密に連携した戦略的・効果的な日本人学生の海外派遣を実現するための体制を整備しています。学生は、国際部留学課窓口やセンター6号館1階学生交流サロンで、留学課スタッフや留学経験のある学生による留学相談を利用することができます。
〇EUセンター
EUセンターは、EU(欧州連合)への知識や理解を深める目的で、2016年3月まで活動した「EUIJ九州」の運営母体として2010年に開設されました。2016年6月より、これまでの豊富な活動成果を活かし、EUに関する研究教育の一層の拡充を図るため、教育プログラム(EU-DPs)を軸とした新たなタームでの活動を行っています。
2016年9月には、EUの教育助成プログラム(エラスムス・プラス)の日本で2拠点目となる「Jean Monnet Centre of Excellence(ジャン・モネCoE)」に採択され、「ジャン・モネCoE九州」事業として、3年間にわたりEU研究を再び世界に向けて発信して参りました。2020年11月からは「ジャン・モネCoE九州・第二期」が始まり、EU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)によるEUについての体系的学習機会の提供や夏季合宿・EU研修旅行、ショートビジット奨学金による学生海外派遣などの教育活動、EUに関する国際会議等参加支援金による若手研究者の研究支援活動、EUに関連するシンポジウムや講演会、市民講座など、研究者・学生、一般市民、ビジネス関係者等を対象に、広くEU理解を促進する研究活動やアウトリーチ活動などを行っています。
*EUセンター教育プログラム
「EU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)」
本EUセンターは、本学学生にEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)を提供しています。EU-DPsは、EU研究のためのディシプリン横断型の学際的でユニークな教育プログラムで、地域統合を通じて経済社会の発展を追求してきたEUや、そうした統合の背後にあるヨーロッパの歴史・思想・科学技術などを、広く・深く学ぶことができます。