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インデックス

産学連携

利益相反

 本学は、従来に比してより積極的な「社会貢献」を、教育・研究に続く「第三の使命」として位置付けており、その一環として共同研究、受託研究、組織対応型連携、大学発ベンチャー支援及び技術移転等、様々な産学官連携活動を推進しています。

 一方、産学官連携活動の健全な推進を図るためには、いわゆる「利益相反」と呼ばれる状態を大学として主体的にマネジメントし、各職員が安心して産学官連携活動に取り組める環境を整備する必要があります。

 このことから本学では、九州大学利益相反ポリシー(平成16年3月19日評議会承認)に基づき、九州大学利益相反マネジメント要項を制定し、利益相反マネジメントを行っています。


○利益相反とは

 産学官連携活動を行う上で職員等が特定の企業等から正当な利益を得る、又は特定の企業等に対し必要な範囲で責務を負うことは当然に想定され、また妥当なことです。しかしながら、真理の探求を目的とした研究を行い、高等教育を行う大学と、営利の追求を目的とした活動を行う企業とは、その基本的な性格・役割を異にすることから、産学官連携活動を行うに当たり職員等が企業等との関係で有する利益や責務と大学における責任とが衝突する状況が生じ得ます。これが利益相反と呼ばれる状況であり、本学においては、マネジメントの対象とする利益相反を次のとおり整理しています。



  • ①広義の利益相反
     狭義の利益相反と責務相反をあわせた概念
  • ②狭義の利益相反
     職員等又は大学が産学官連携活動に伴って得る利益(実施料収入、兼業報酬、未公開株式等)と、教育・研究という大学における責任が衝突・相反している状況。
  • ③責務相反
     職員等が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を負っていて、大学における職務遂行の責任と企業等に対する職務遂行責任が両立しえない状態。
  • ④個人としての利益相反
     狭義の利益相反のうち、職員等個人が得る利益と職員等個人の大学における責任との相反
  • ⑤大学(組織)としての利益相反
     狭義の利益相反のうち、大学組織が得る利益と大学組織の社会的責任との相反

 利益相反とは、「大学における責任が果たされていない」という事実を指すのではなく、社会から「大学における責任が果たされていないのではないか」という疑念を抱かれる状況を指します。よって、法令違反とは異なる概念であり、適切なマネジメントを実施することで社会への説明責任を十分に果たすことができればよいことになります。

○マネジメント体制

*利益相反マネジメント委員会

 次に掲げる事項を審議する機関として、弁護士等の学内外有識者を1名以上加えた利益相反マネジメント委員会を設置しています。

  • ・利益相反マネジメントのための調査及び相談に関する事項
  • ・利益相反に関する個別案件の審議及び勧告に関する事項
  • ・利益相反マネジメントに関する外部への説明責任に関する事項
  • ・その他利益相反マネジメントに関する重要事項
*利益相反マネジメント・アドバイザー

 自己申告書等の内容審査、職員等からの利益相反に関する相談への対応及び職員等への事情聴取等を実施する者として、利益相反マネジメント・アドバイザーを置いています。

○マネジメント方法

  • ①定期自己申告
     毎年度1回、対象となる職員(役員(監事を除く)、教員、学術研究員)より、産学官連携活動の有無、連携先からの経済的利益の獲得状況及び連携先のエクイティの保有状況等、利益相反を構成する事実関係について自己申告書を提出いただき、必要に応じて利益相反マネジメント・アドバイザーによるヒアリング及びアドバイス等を行っています。
  • ②厚生労働科研及び日本医療研究開発機構(AMED)の研究に係る自己申告
     厚生労働科学研究費補助金を用いた研究の実施者(研究代表者、研究分担者)、又は、日本医療研究開発機構(AMED)委託研究・補助金を用いた研究の実施者(研究開発代表者、研究開発分担者及びこれに相当する研究者)については、各研究課題の交付申請書提出(または委託研究契約締結)前までに、自己申告書(厚生労働省科学研究/日本医療研究開発機構研究用)を提出いただき、必要に応じて利益相反マネジメント・アドバイザーによるヒアリング及びアドバイス等を行っています。
  • ③ご相談
     利益相反に関する相談を学術研究・産学官連携本部において随時受け付けています。相談を希望する場合は、相談シートを提出して下さい。

○臨床研究に係る利益相反マネジメント

 臨床研究は、研究対象が人間であることから、被験者の人権・生命を守り、安全にこれを実施することへ格別な配慮が求められます。そこで、医系学府・研究院・研究所及び九州大学病院では、「九州大学医系における臨床研究の利益相反に関する指針」及び「医学系部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を策定し、上記の全学的な利益相反マネジメントに加え、臨床研究に係る利益相反マネジメントを重畳的に実施しています。